2012年05月20日

手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)とその治療

暑くもないのに、また激しい運動をしたわけでもないのに、手のひらにぐっしょりと汗をかくのが手掌多汗症です。緊張したときなどに足の裏や腋、顔面など特定の部位に発汗する「局所多汗症」のひとつです。

どれくらいの汗が出るのかというと、手のひらが汗ばむといったレベルではありません。手掌多汗症ではひどいとポタポタと汗が手のひらからしたたり落ちるのです。ノートを濡らしてしまい、授業が出られない、テストが受けられないというほどの状態にまでなります。

手に汗をかく、といいますが、もともと手のひらはあまり汗をかく部位ではありません。緊張すると手のひらに発汗するのは、いざという時に備えてすべりを防ぐように機能するのです。これは自分で意識しなくとも、自律神経が自動的に緊張モード(交感神経)にスイッチを入れ、まわりの外敵や見えざるストレスに対処できるよう身構えるわけです。

ところが、自律神経失調症や遺伝的な体質で、ちょっとした緊張で手のひらから大量に発汗してしまうのが手掌多汗症です。

手掌多汗症はつい最近まで病気だとは思われていませんでした。気のせいだ、気持ちをしっかり持て、と筋違いなことをお医者さまにいわれたりしていたのです。しかし、多汗症は精神的な病気ではありません。

わきがが性徴とともに発症することが多いのと対照的に、多汗症は乳幼児期にすでに手のひらや足の裏が汗ばむなどの症状が現れてることが多く、もの心がついた時には多汗症だったという人が大半です。


心療内科でカウンセリングを受ける


手掌多汗症の治療には、内服薬の服用から外科手術までいろいろあります。メンタルな要因が大きい場合は、まず精神科や心療内科でカウンセリングを受けるべきでしょう。原因となっているストレスを見つけ、これを解消することが大切です。

ETS手術(交感神経節切除術)


外科的にはETS手術(交感神経節切除術)があります。直径2mmの細いテレビカメラを使って、手の平へいく交感神経を胸部で切断する手術です。腋の下に2mmの傷がつくだけです。再発しにくく、効果はほぼ永続します。
いいことづくめのようですが、欠点は代償性発汗です。手のひらの代わりに背中や腹部に多量の汗が出るケースがあるのです。
この方法を選択される場合は、施術ができるクリニックの情報を多数集め、十分比較して納得のいくクリニックを選ぶようにしてください。リスクはあります。

アルミニウムローション


アルミニウムローションを汗の多い部位に塗布する治療法です。手のひらの多汗にはあまり利用されないようです。腋の下の多汗は効果があるようです。

ボトックス注射


もともと、しわの治療に利用が始まったボトックスですが、わきが・多汗症の治療にも使われるようにもなりました。これはボツリヌス菌の毒素が汗を分泌するエクリン汗腺の働きを止めるためです。効果は約4〜6ヶ月間継続します。
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超音波治療法による多汗症の治療

超音波というのは、人間の耳には聞こえない高い周波数(20kHz以上)で振動する音波のことです。Hz(ヘルツ)というのは秒間に何回強弱が繰り返されるかを表します。20kHz(キロヘルツ)だと、毎秒2万回の振動が起こるわけです。

人間が聞き取れる音の周波数は、20Hz〜20kHzといわれています。犬がもっと高い音を聞き取ることができるのはご存知ですね。犬笛はそのような人が聞くことができない高い周波数を利用します。犬は120KHzくらいまでの音を聞き分けることができるそうです。

さて、超音波と呼ばれる音の周波数は、20KHz〜100MHzであり、超音波治療法に用いられる周波数は、0.8〜3MHzです。このように高い周波数を生体に当てると、超音波のエネルギーは熱に変わります。患部が温かくなるのです。3MHz(メガヘルツ)とは、1秒間に300万回の振動ということになります。人が聞き取れる周波数の150倍の周波数ですね。

超音波治療は、物理療法として利用の頻度、認知度ともにもっとも高いものの一つです。音が持つエネルギーで患部を温熱マッサージするもの、といえます。周波数が高いほど温熱効果は上がるのですが、一方、皮膚の内部への浸透の深さは浅くなってしまします。深部を治療するには、逆に超音波の周波数を低くすることになります。

一般的に超音波治療により期待できる効果は、生体の新陳代謝の促進、神経繊維の刺激、鎮痛効果、病変組織の治癒などです。


超音波治療で多汗症が治療できるわけ


超音波治療では、治療したい部位の皮下組織全体に超音波を当てるだけです。これで、なぜ多汗症を治療できるのでしょう? ちょっと不思議な気がしますが、そのわけは、汗腺類は弾力性がなくい固いのに対して、血管や神経はしなやかで十分な弾力性を持っているためなのです。

この組織の硬さの違いを利用して、超音波を照射します。硬い汗腺類は超音波の振動エネルギーをまともに受けて破壊され、しなやかな血管や神経組織は自身の弾力で振動エネルギーをかわすためにダメージを受けません。適切な周波数を選択し、患者の状況に合うよう調節するのにスキルを要しますが、目標の汗腺だけを破壊することができるのです。

超音波治療の効果


外科手術で汗腺類を取り除く方法と異なり、超音波治療法は特別な周波数が汗腺類だけを識別し、ある治療箇所をすべて破壊させます。そのため、多汗症が再発しにくいのです。外科手術による方法では、しばしば再発がいわれますが、実は汗腺の一部が取り除けず、残ってしまうことが原因です。それほど、汗腺を掻きだす手術はデリケートで難しいのです。超音波治療では汗腺の取り残しがなく、ほぼ100%除去することが可能です。
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ボトックス注入法による多汗症の治療

ボトックス注入法とはボットクスと呼ばれる薬剤を処置したい局部の注射するだけの施術です。とても簡単。

もともとはしわ治療に効果が絶大で、アメリカでは大ブームになっています。ただ、このボトックスという薬剤、製法はボツリヌス菌の毒素なのです。えっ、ボツリヌス菌の毒素・・・!?

そうです。ボツリヌス菌は食中毒の病原菌で、その毒素は強力な神経毒です。第二次大戦中に細菌兵器(生物兵器)として開発が進められたものです。ちょっとこわい話、ですね。

ボトックスは、A型ボツリヌス毒素から抽出した成分です。アメリカのアラガン社が登録商標を保有しています。ボツリヌス菌自体を注射するわけではなく、ボツリヌス菌が出す毒素(タンパク質の一種)利用するものです。

日本では1996年に眼瞼痙攣(まぶたがピクピクする症状)に対して承認され、片側顔面痙攣などにも利用されている医薬品です。そこで、ボトックスをことさら怖がる必要はないでしょう。毒をもって毒を制するホメオパシーという代替治療もあります。そもそも薬と毒の境界はあいまいなのです。

切らないで注射するだけでしわが取れたり、小顔になったり(えらをスッキリさせる)といった治療ができるため、プチ整形といわれたりします。では、なぜ、ボトックス注入法で多汗症が治療できるのかご説明しますので、あなたがきちんと理解して、信頼できるお医者さまとご相談ください。


汗腺には2種類ある(エクリン汗腺とアポクリン汗腺)


汗を分泌する汗腺には2種類あります。エクリン汗腺とアポクリン汗腺です。図をご覧ください。エクリン汗腺は独立しており、アポクリン汗腺は毛穴に開口しています。エクリン汗腺が一般的な汗を分泌する汗腺であり、体表に数百万個も分布します。一方、アポクリン汗腺は特定の場所にしか存在しません。ワキ、陰部、乳りん、外耳道などです。アポクリン汗腺から出る汗には、たんぱく質、アンモニア、脂質などが含まれ、発汗直後には無臭ですが、細菌が作用して特有のニオイを発します。わきがの原因となる汗腺です。腋下の多汗症にはエクリン汗腺によるものとアポクリン汗腺によるものがあります。
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ボトックスでなぜ多汗症が治る?


ボトックスには筋肉を弛緩させる作用があります。ボトックスが注入されると、筋肉を動かす神経伝達物質(アセチルコリン)が抑制され、その箇所が弛緩します。一方、アポクリン汗腺はアドレナリンが放出されることで活動し、エクリン汗腺はアセチルコリンを放出します。ボトックスはこのアセチルコリンを抑制するので、エクリン汗腺が原因の多汗症(腋下だけでなく全身に発汗する多汗症)に有効に作用するのです。

ボトックスの効果が継続する期間


効果は約4〜6ヶ月間継続します。注射の部位の工夫で半年以上持続すると指摘されるお医者さまもおられます。さらには1回の注射で、完治してしまった患者さんの例を挙げられる先生もおられます。ボトックスは本来、一過性の治療で、4〜6ヶ月ごとに注射を続けなければなりません。それが完治してしまうのは、精神性発汗の原因である「予期不安」がなくなったからだと思われます。つまり、ボトックスにはメンタルな治療効果も期待できるということです。
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多汗症は切らずに治せる!多汗症治療の最前線

多汗症の人にとっては、ハンドルをにぎる、お客さまと打ち合わせる、そんななんでないようなことでも汗が噴き出してしまうのです。ひとしれず悩み続け、仕事や恋愛、社会生活そのものを棒に振ってしまう人もいます。一生、多汗症の自分と向き合うことは苦痛ですね。

多汗症は、自律神経が緊張側に過剰に動くことで起こります。自律神経とは私たちの意思とは関係なく独立して働いて内臓や血管、分泌を制御します。自律神経には二系統あり、交感神経(緊張を司る神経)と副交感神経(リラックスを司る神経)です。

交感神経が働きますと、心拍が速くなり、脳に血液が集められ、外敵やストレスに対してからだは自動的に対処しようとするのです。このため、末梢への血流が減り、手足は冷たくなります。手に汗にぎる、といいますが、この状態が過剰になってハドメが効かなくなった状態が多汗症といえます。

そこで、多汗症の治療には本来、メンタルに自律神経の働きを整える心身療法もあります。また、多汗症の治療のために交感神経を遮断するという手術も認められるようになりました。わきの下に2ミリほどの針穴をあけ、縫合もなしで日帰りでできます。

それでは、ここでは切らずに治せる多汗症治療の最前線をご紹介しましょう。あなたご自身がきちんと理解して、信頼できる医師とご相談ください。


ボトックス注入法


もともと、しわの治療に利用が始まったボトックスですが、わきが・多汗症の治療にも使われるようにもなりました。これはボツリヌス菌の毒素が汗を分泌するエクリン汗腺の働きを止めるためです。効果は約4〜6ヶ月間継続します。

超音波治療法


わきがの原因である汗腺の機能を破壊する治療法です。わきの下の皮膚内に超音波治療器の小さな先端を入れて、汗腺や皮脂を破壊します。傷あとも小さく、神経や血管を傷つけることもありません。

ETS手術(交感神経節切除術)


多汗症の治療のために交感神経を遮断する手術です。施術部位に2ミリほどの針穴をあけ、縫合もなしで日帰りでできます。1週間めには傷はほとんど判別できなくなり、1ヶ月後には傷は消失します。通院も不要。ETS手術は手のひらの多汗症に特に効果的だといわれています。ただし、手術後の代償性発汗(手術した部位の発汗が止まる代わりに胸や背中など他の部位からの発汗が増える)が生じる可能性があります。信頼できるお医者さまと事前によくご相談ください。


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